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4級小型船舶免許受験記


小型船舶操縦士の資格が人気のようだ。折からのアウトドアや釣りブームの影響で、マリン・ジェットやバスボートに乗ろうという若者や、老後をクルーザー旅行で過ごそうとする中高年まで、需要が急激に膨らんでいるそうだ。

従来ならば、一部のお金持ちの趣味であったクルージングも、低価格のプレジャー・ボート(ヤマハSRV〜160万円など)の発売が相次ぎ、駐車場程度の料金の簡易マリーナ(PBS)も登場している。もはや、最近流行のRV車を購入維持するのと変わらない出費という状況だ。これなら庶民の趣味としても十分魅力的で、船舶免許の人気は上昇中なのだ。

 

免許の取り方3種

  1. JEIS主催の講習会(試験免除) 費用は10万円くらいと高いが、確実に取れる。3泊4日の合宿コースもある。

     

  2. 民間のボート・スクールで学科と実技を習い、国家試験を受験する。
    これは7万から10万円くらい。普通はこの方法だ。

     

  3. 完全に独学 これは受験料の実費(4万円くらい)で済む。
    学科は市販の教材を買って受験し、実技はビデオ教材で勉強したり、知り合いに乗せて貰って教わる。いちばん安くすむが、受験手続きや情報収集がかなり困難だ。

     

ボートスクールと費用

筆者は、上記の方法のうち、2番目の普通の取り方を選択した。実技講習を申し込 んだのは、下記のスクールである。自宅に近いのでここに決めた。

 

潟xルソン・ボート・スクール
〒193 東京都八王子市東浅川町914ー9(高尾駅南口3分町田街道沿い)
電話 0426−65−2424
営業時間9:00〜19:00(毎週火曜定休)

 

「4級船舶通学コース(9万円)」  〜 学科講習3日がある。
「4級船舶おすすめコース(7万円)」〜 学科の勉強は独学で受ける。

上記のコースのうち、「4級船舶おすすめコース(7万円)」を申し込んだ。 よほど理解の悪い人以外は、学科講習は必要ないとのことなので。 どちらも実技講習1日と、教材代、受験料、手続き料など、全部込みである。
スクールによっては、実技試験の受験料約2万円を、別途の費用として徴収する場合があるので、要注意である。全部込みで7万円は、かなり安いと思う。

ただし「予備身体検査証明書」で病院に払う手数料(2〜3千円)は必要である。

 

受験体験レポート

平成8年8月中旬〜下旬

ボート・スクールなどの情報収集を始める。
友人が、八王子市内にあるベルソンというスクールを発見し、
安内パンフレットを貰って来た。2人で検討し、ここに決める。

8月31日(土)

スクールへ、入学申し込み書類を取りに行く。
遠くの人は、郵送を頼んでもよい。
入学申し込み書類一式を受け取る。
このとき、学科試験の開催日程の一覧表をくれるので、その中から希望の学科試験日(会場も色々)を、正式に入学を申し込むまでに決めておく。

9月3日(火)

申し込み書類の中に「予備身体検査証明書」というのがあるので、近所の病院で検査を受け、記入してもらう。(写真張付)
検査は、視力(矯正可)と手足の動かしだけで、すぐに終わる。
検査の費用は2000円だった。
他の必要書類(住民票2通、写真7枚、印鑑など)を用意する。

9月7日(土)

スクールに正式に入学する(=受験申請)。
必要書類を持参して、代金7万円を添えて申し込む。
これも、遠くの人は、郵送でもよい。
学科試験は、9月24日(火)の会場が立川の試験を申し込む。
学科試験用の教材(教科書、問題集、練習ロープ)を受け取り、試験勉強を始める。まずは学科試験だけ考えていればよい様だ。
後日、受験票が郵送されて来る。

9月24日(火)

学科試験(立川)〜午前中にすべて終わる〜
学科試験の前に、簡単な身体検査があるが、これも簡単な運動で、特に準備も必要ないし、みんなパスする。
この学科試験の合格発表は、翌日。

9月25日(水)

学科試験の合格発表 & 実技試験日が指定される
スクールに電話で確認するという形で発表される。
学科試験に合格していると、実技試験日が通告される。
実技試験は、10月11日(金)の午後の部、に決まる。
指定された実技試験日が都合が悪い場合、以後の別の試験日に変更できる。筆者は、指定された日で申し込む。
また、スクールが行う実技講習の希望日を10月6日(日)で申し込む。

10月6日(日)

実技講習(多摩川河口の羽田沖)〜丸一日かかる
最寄駅は、京急かモノレールの羽田空港駅で現地集合
実技試験で使う船で、実技試験と同じ海域で講習を受ける。
(↑これが潟xルソンさんの有利な点である。
  他のスクールだと、船種も違う場合がある。)

10月11日(金)

実技試験(羽田沖) 〜 午後から約2時間
合格発表は、10月17日(木)と告知される。

10月17日(木)

実技試験の合格発表
実技試験の合格発表も、スクールに電話という形である。
筆者も、一緒に受けた友人も合格した。
約1週間で、海技免状がスクールに届くとのこと。

10月27日(日)

海技免状の交付
スクールに出向いて渡してもらう。宅配便で送ってもらうこともできるが、送料は有料になる。

筆者の場合、受験の期間は約2カ月にわたった。しかし、講習や試験日の日程の組み方によっては、もう少し短い期間でも取れると思う。ただし、学科試験、実技試験とも、平日なので、最低2日は休暇が必要で、これは避けられない。

 

学科試験の内容

4択の50問(2時間)で33問以上で合格。
問題の9割は、問題集からそのまま出題されるので、教材の問題集をまじめにやっておけばOK。ただし問題集の問題数はかなり多い。

内容は、船舶の知識と法規で、船体や機関の名称と役割、燃料と速度・距離などに関する計算問題(中学程度)、天気図の見方、航海図の読み方、灯台や航路標識の意味、など広く浅くという感じ。どれも勉強していて面白かった。

 

実技試験の内容

船体の点検、ロープの結び方、操船、口述試験などを、2〜3人一組で行う。約1時間。船の操縦技術よりも、口述試験の方がウエイトが高いので、学科の勉強を真面目にやっておくのが重要だと思う。ロープ・ワークも、真面目に練習しておいた方がよい。

 

受験に時間がかかってもOK

スクール講習料:1年間有効
身体検査の合格:1年間または6カ月間有効(視力によって違う)
学科試験の合格:2年間有効 (学科に合格したが、実技試験に不合格の場合でも、実技試験だけを再受験できる。ただし、実技試験の受験料実費は、約2万円なので、落とすと痛い。)

 

免許取得後の実際

免許を取ったからといって、すぐにクルーザーを購入して、マリーナに保管して・・・というわけにもいかない。会員制のクルージング・クラブなどに入会すれば、クラブ所有の色々なタイプの船艇をレンタルして、本格的クルージングを楽しむこともできる。船体のメンテナンスなどの維持も不要で、台風が来ても係留中の自船の心配もない。それでも従来のマリンクラブは、入会金は100万円単位だし、他にも年間数十万円はかかる。これでは、どうしようもない。

ところが、最近では、クラブ艇を小型プレジャー・ボートに限定した、低価格のマリンクラブも登場してきている。たとえば、ヤマハが運営する、全国の提携マリーナから「SRV(6人乗り)」で出船出来るマリン・クラブは、入会金1万円、月会費3千円、レンタル料金が1日1.5万円という安さだ。これなら十分手が届く範囲だ。

ちなみに筆者が世話になったボート・スクールは、真鶴でマリン・クラブも経営していて、スクールの卒業生は入会金も会費も払わずに、クルージングのみ予約して1日1人あたり1万円ポッキリで海に出ることができる。これは大きな特典だ。しかも、トローリング設備付きの艇もあって、相模湾でマグロ、カツオ、シイラなどのビッグ・フィッシングを楽しむことができる。

小型船舶の免許は「船長」の資格の免許であって、自動車のような運転免許ではない。したがって、船に一人でも「船長」が乗船していれば、舵取りなどの操船は、誰が行ってもよいことになっている。 実技の講習でも、こちらは免許を持ってないし、船に乗るのも初めてなのに、いきなり沖へ出て操船をさせられた。仮免許などの制度もないし、教習区域といった区別もなく、ごく普通の海上である。

操船は簡単で、まったく恐くないし、実に気持ちよかった。増速時には船体は後ろへ傾くし、波によってジャンプしたり、転回時には左右にかなり傾く。ちょうどジェット・コースターのように迫力満点で、これはやみつきになると思った。

実際に海に出ればわかるが、海上というのは、道路を車で走行するのにくらべてはるかに安全だ。小回りのきく小型船舶ではなおさらだ。360度どこへ行ってもよいし、歩行者もいなけりゃ踏切もない。ちょうど、360度が地平線のサバンナを車で走り回るようなものだ。

みなさんも、ぜひ免許を取って、海へ出てみて欲しい。

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