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富士山登頂

 

1998年8月9日(日)〜8月10日(月)、生まれて初めて富士山の頂上まで登りました。富士山は、普通は7月と8月だけの2ヶ月間しか登れないので、なかなか機会もなかったのですが、 数年来の目標が叶って満足しました。

1日目

八王子の自宅から、中央高速で河口湖へ向かう。ちょうど富士山は登山最盛期で、河口湖から吉田口5合目までの富士スバルラインは、マイカー規制中だった。マイカーはスバルライン料金所近くの北麓公園という所の無料駐車場に止め、そこから五合目までは、シャトルバスに乗ることになる。9時30分にスバルライン途中の駐車場に着き、準備をして9時50分にバスに乗り、スバルラインで5合目(2350m)へ登る。このバスは、とにかくどんどん行き来しているので、マイカー規制による時間的なロスはほとんどなかった。

5合目到着は10時40分、日曜日なので、帰りの登山客でごったがえしていた。すぐに登山道を登り始める。6合目までは車も通る林道で、名物の馬(車)と一緒に歩く。30分ほどで到着。ちなみに、馬は7合目まで乗せてもらうことができる。ただし片道12000円だそうだ。

6合目(2390m)からは登りに入るが、かなり余裕のあるつづら折りなので、それほどキツくはない。でも逆に、ひたすら似たようなジグザグ道を行くので、ちょっと退屈かも知れない。

7合目の最初の山小屋を通過。7合目には7軒の山小屋があるが、ひとくちに7合目と言っても、一番下の小屋から一番上の小屋までは1時間もかかるので、要注意だ。7合目からは、かなり急な岩登りの連続だ。ところどころに鎖もある。

 

8合目から下を見下ろす


8合目(3020m)の山小屋「白雲荘」に到着。今日はここに泊まる。これまでの山小屋は、どれも急斜面に長細く建っていて、普通の山小屋よりもだいぶ小さい。「白雲荘」も、寝室エリアはかなり狭かった。隣の人との距離もない。この夜は、近くのオッサンのいびきがひどく、あまり眠れなかった。

2日目

なんと午前2時起床、登山客はみんなご来光を見ようという予定なので、この時間でも山小屋周辺は大混雑だった。2時半頃に小屋を出る。風が強く、えらく寒い。顔面も寒いので、タオルでマスクをして進む。ここからは岩場ではなく、細かい溶岩のジグザグ道だ。しかし、登山道は狭くなっているので、しばしば登山客の「渋滞」で進めなくなる。このへんから酸素不足を感じ、ちょっと頭痛がしてきた。「渋滞」のため、ゆっくり登ったので、かえってよかったのかも知れない。缶入り酸素が売っているが、なんとか我慢した(慣れれば大丈夫になる)。

 

ご来光〜9.8合目付近から


「渋滞」のため、9合目後半のもうちょっとで頂上という所で、ご来光を見ることになった。この瞬間は、上も下も、登山客はみんな足を止めていた。

ついに山頂に到着、とにかくえらく寒い。5度くらいしかなかった。頂上はさすがに拓けていて、休憩所もたくさんある。浅間大社にお参りをして、熱いコーヒーを沸かして飲んだ。

 

頂上


山頂は、真ん中に噴火口があいていて、それを「お鉢」というらしい。「お鉢」の中には一部万年雪が残っていた。それを囲む山を1周するコースもあり、所要1時間くらいだ。まずは御殿場口の方にある「富士山頂郵便局」を目指す。途中に「NTT」もあった。郵便局でハガキを買い、出そうと思ったらアドレス帳を忘れてきたことに気づき、情けない思いをする。

 

富士山頂郵便局前
寒さで鼻がグジュグジュで泣きそうになる


山頂郵便局を出ると、「お鉢巡り」をすることになり、測候所などを巡って噴火口の周りを一周した。天気はよくなってきていて、どこからも眺めがよかった。約1時間で「お鉢」を1周した。ここで昼食をとる。

下山は、登山道とは別の道になっていて、頂上から8合目までは、富士吉田口と須走口との共用だ。この下山道は、頂上から6合目まで、ひたすら砂利のジグザグ道で、ブルドーザーが荷物を運びあげる道でもあるので、途中、2,3台のブルドーザーとすれ違った。砂ぼこりが激しいので、マスクが欲しかった。また、靴に砂が入るのでスパッツがあった方がいい。

下山道は、8合目で、富士吉田口と須走口へ向かう道が分かれる。その分岐場所は、ちょっとわかりにくく、うっかりすると、富士吉田口へ下るつもりの人が須走口へ降りてしまう例があるそうなので、注意が必要だ。

とにかくひたすら砂利のジグザグ道を下る。6合目で、やっと前日に通った登山道と合流する。ここにも馬が待機していて、5合目まで乗せて貰うこともできる。

6合目まで下った頃、山頂付近にヘリコプターが2機飛んでいた。山梨県警の4WDのパトカーともすれ違った。何かあったかと思ったら、この日の早朝に、御殿場口の登山道で落石事故があり、3人が落石にあって1人が亡くなったそうだ。

5合目に到着すると、バス乗り場は長蛇の列。でも、次々とバスが到着しては出発するという状況で、すぐにバスに乗れた。バス中は熟睡で、マイカーの駐車に着くと、やっと顔を洗うことができた。富士登山の最大の難点は、「水がない」ことで、山小屋では、トイレの後の手荒い水さえ無かったのだ。もちろん飲料水は、500ccのペットボトルが500円也だ。

 

山頂からの展望
上の方に見える水面は山中湖


初めて経験した3776mの世界は、空気の問題はそれほど深刻ではありませんでした。ただ、登山道には、植物と、冷たくて旨い清水がなかったので、ちょっと味気ない気がしました。あとは登山客が集中して、人混みが絶えないのも、普通の登山とは違う点でした。物価の高さにも辟易しました。こう言うと、まるで良くない点ばかりでしが、日本最高峰から見る日の出の瞬間には、かなり感動しました。でも、正直言って、もう一度登りたいとは思いませんでした。

 

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